教師を育てる

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カンボジア教員養成校に日本人の教育アドバイザーを派遣し、

教師の質の向上の目指す

「教師を育てる」事業では、教員養成校のカンボジア人教官の能力向上を目標に、日本人のベテラン教師を教育アドバイザーとして派遣しています。

理数科を主な指導教科とし、教員養成校の学生に直接指導するのではなく、教員養成校のカンボジア人教官が教師の卵である学生たちに質の高い指導ができるようにサポートしています。

活動の概要

【支援開始】2009年10月〜

【支援教科】理数科分野

【支援対象】カンボジア教育養成校の教官

【事業目標】

カンボジア教員養成校に日本人の教育アドバイザーを派遣し、教師の質の向上の目指す

【支援地域実績】プノンペン市、スヴァイリエン州、プレイベン、コンポントム、クラチェ

支援実績

活動の背景

カンボジアにおいて、ポル・ポト派の独裁政権時代に崩壊した教育の立て直しに不可欠なのが、教師の質の向上です。教員養成校の教官でさえ、授業では教科書とペンだけで指導していることが多く、教材を活用したり、実験を取り入れた授業を実施したりする機会があまりありません。カンボジア人教官と日本人アドバイザー教師がチームを組んで協力して授業改善を行うことで、カンボジア人教師の能力向上へとつながっていく活動です。

活動の内容

支援教科は世界共通科目であり、基礎教育に欠かせない理数科に限定しています。理数科教師の質を向上させることは、初歩的な計算能力や論理的思考がしっかりと身についた人材の輩出につながります。このような人材の輩出が外国企業の投資や進出につながり、やがてカンボジア経済の活性化につながっていくのです。シーセフが掲げている「教育をすべてのはじまりに」という考えに基づいています。

第1期 草創期 (2009年9月~2010年2月)

教育アドバイザーの技量に合わせた自由な支援活動を行いました。

第2期 Team Teaching 導入期 

(2010年3月~2014年9月)

第3期 Team Teaching 安定期 

(2014年10月~2017年9月)

教育アドバイザーと教官によるTeam Teachingを導入し、教官の個別の能力向上を目指します。教官が育つことで教師の卵が育ち、最終的には子どもたちの学習に影響することを期待します。

第4期 授業研究会導入期 (2017年10月~)

教官一人ひとりの指導レベルが上がり、授業研究会を導入。教育アドバイザーがリードしながら授業研究会を開催し、同じ教科の教官がグループでお互いの能力向上を目指します。

教員養成校の教官の指導レベルが少しずつ上がり、それが学校現場の指導レベルアップにつながることを期待していますが、地方の教材・教師の不足、同僚への理解など様々要因があり、まだまだ現場への影響は多くありません。次のステップとして学校現場で働く教師への支援が求められています。

2021年に教員養成校卒業生(現在は教師)へアンケートを実施し、「養成校での学びが役に立っているか」に対して、「役に立っている」という回答が100%だったのに対し、「教育面で支援してほしいこと」*という質問では「教材・本がほしい」「教師研修を受けたい」と現場教員に対する支援を必要としていることがわかりました。

カンボジアには教員用指導書がほとんどありません。2021年にはシーセフ「国境なき教師団応援団」を中心として、算数の指導書を作成しスバイリエン・コンポントム・プレイベン州の小学校教員養成校に合計350冊送りました。これを活用してもらうことでどこでも誰でも指導でき、質の高い授業を実施できるように取り組んでいます。

またアンケートより教師研修のニーズがあることから、研修制度について教育省と方向性を確認しながら、どんな支援が必要かを検討しています。

*「教育面で支援してほしいこと」に対するアンケート(単位:人)

小学校教員養成校を卒業した現役教師(3地域43名)へのアンケート(2021年実施)

受益者の声

スバイリエン小学校教諭教員教官(算数担当)

アドバイザーに作成いただいた算数指導書は非常に重要です。これまで小学生に分数を教えるのは難しいと言っていた教師もいましたが、この指導書には分数の概念、適切な教材教具について、その使い方など詳しく書かれており、より分かりやすく教えるために本当に役立っています。算数は初等教育の中で重要な科目ですので、もっと自分の能力を向上させるために調べたり勉強し、人材育成という面でも国の発展に貢献できればと思っています。

スバイリエン小学校教諭教員教官(理科担当)

振り返りノートを活用したことで、生徒の学習の理解度やニーズが把握できるようになり、また教師の授業の振り返りにもなっており、授業の改善にもつながっています。教員養成校だけでなく、付属小学校でも一部活用しているので、養成校の生徒(将来の先生)が小学校の児童の学習進捗やニーズも知り自身の学びになっているようです。現在は一部の学校のみでしか活用しておりませんが、もっと広げていきたいと考えています。また今後はこの取り組みの評価を行い、より効果的に取り組めるようにしていきたいと思っています。