公益財団法人CIESFは、カンボジアをはじめとした開発途上国で一貫した教育支援している団体です。
途上国に学校を建てても解決しない問題
ー定規を触ったことがない
カンボジアはポルポト政権により教育が崩壊し、内戦後40年以上経った今でもそのように言う教師がまだ多くいます。
シーセフの設立者である大久保秀夫が、はじめてカンボジアを訪れた20年前、各国のODAやNGOが学校をはじめとする建物を建て、指導に必要な教具の支援をしていました。しかし実際の学校をみてみると、そのような理科の実験道具、算数の教具など支援物資は放置され、使われていませんでした。
内戦で多くの教師が殺され、教育活動が再び始まった当時、働く教師はクメール文字を読み書きできる程度、闇雲に教科書を読むだけの授業が行われていました。
そんな状況の中で、支援物資を使いこなせる教師はほとんどいなかったのです。
― 先生がいないこともある。
― 先生の多くは副業のため、授業を休んでしまうことが多い。
― 先生もコンパスや分度器を使えない、理科の実験ができない。
カンボジアの学校の多くは、こうした現状を抱えたまま存在していました。
大久保はこの状況を目の当たりにし、すべてのはじまりは教育であり、「人を育てること」こそがこの国を救うことになる、と確信し、スタートしたのがシーセフのはじまりです。
よい教育が受けられるようになると、その先には就職がありますが、カンボジアやミャンマーには国内資本の大企業がまだほとんどありません。
そのため私たちは、若者たちが起業して将来多くの雇用を創出し、国の発展に寄与できるよう、起業家育成支援も行っています。
また、急速に発展しているカンボジアをはじめとしたメコン川流域諸国には、多くの日系企業が進出しています。それらの企業へ就職し、安定した生活を送ることができるよう、ビジネスパーソン育成支援も行っています。
カンボジアの公教育はこの20年で大きく変化し、2024年のデータ※によると小学校修了率は82%と大きく改善しています。
※参考:世界子供白書2024/ユニセフ https://www.unicef.or.jp/sowc/data.html
しかしまだ世界に比べると教育の質は低いままです。2022年にOECD(経済協力開発機構)が行ったPISA調査(学習到達度調査)では、参加国81か国中、カンボジアは読解力、科学的リテラシー、数学的リテラシーすべてにおいて、最下位という結果でした。
国内の都市部ではインターナショナルスクールなどが増え、質の高い教育を受けられますが、授業料が高額なため、一般的な生徒は通うことができず、教育格差はますます広がっています。学校に通えない生徒のために、外国人が自国の教師を派遣して学校を運営するNGOもありますが、こういった援助の形は、いつまで支援が続くかわかりません。教育改革を行う教育行政もまだ海外からの支援に頼ることも多く、改善の見通しは経ちません。
終わりが見えない支援に歯止めをかけるためには、公教育の質の向上が鍵となります。
私たちはこの問題を解決するために、2016年、幼小中一貫校CIESF Leaders Academy(以下CLA)を設立しました。ここをモデル校とし、国内に広げ、公教育の改善を行います。
シーセフは教育を中心に、よりよい国づくりに貢献できる本質的な支援活動を行い、持続可能な社会、地球益があたりまえの未来の実現を目指します。