現地リポート

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2021.10.29

「国境なき教師応援団」の活動:『算数授業の手引き』を教員養成校の学生に贈呈

1.支援の背景
 2021年9月、CIESFのボランティアグループ「国境なき教師応援団」は、カンボジアのプレイベン州、スバイリエン州、コンポントム州の小学校教員養成校を今年卒業する学生たち(未来の教師)に、『算数授業の手引き:分数の教え方』という冊子を贈呈いたしました。
 コロナ禍を受けて、カンボジアの学校でも対面授業は中止になり、オンライン授業が主流となった一方で、オンライン環境の整っていない多くの家庭の子どもたちは十分な教育(とくに算数)を受けられないのではないかと危惧しました。当初は、そのような子どもたちへ算数教材を支援することを考えましたが、対象の子どもの数があまりにも多大で困難を極めたことや、国連児童基金(UNICEF)が算数ドリルの配布を行うこともあり、原点に戻って、従来からCIESFと繋がりのある教員養成校を支援する方向に切り替えました。

2.支援の内容
 今回配布した『算数授業の手引き:分数の教え方』という冊子には、「国境なき教師団」として養成校で算数指導に携わっていた元算数アドバイザーの方々の知見が集約されています。当時カンボジアの学生が最も理解に困っていた「分数」単元について、カンボジアの教科書を基本にしながら、日本式のわかりやすさを取り入れた指導案を各学年分作成しました。これを中心に、現地で実践した指導案や換算(桁の移動)、クイズなども含めた全74ページの冊子ができました。その後、CIESFのカンボジア人スタッフがクメール語に翻訳し、製本を経て、上記の卒業生に1人1冊、養成校へ30冊寄贈しました。

3.冊子に込められた期待
 本冊子は、そのまま実際の授業で使うものではなく、あくまで参考書という立場です。これを読んだカンボジアの先生方が「こんな教え方もあるんだ!」という気づきとともに視野を広げる役目を持たせたいと思っています。また、コロナ禍が収束して渡航ができるようになったら、今回の分数単元の指導案作成に関わったメンバーで現地を訪問し、実際に本冊子を使用して指導をしたいという希望を持っています。
 直近に行なった若手教師へのアンケートでは、養成校時代に日本人アドバイザーからもらった資料をその後の授業に活かしているという結果もでています。カンボジアではひとつの型にはまった指導案が流布しており、またクメール語の教育参考書も少ないため、彼らの希望に沿ったものを提供できたと考えています。そして、今回の活動を通して、日本にいながら途上国の教育を支援するための新たな方法を実証できたのではないかと思います。

公益財団法人CIESF 理事
長沼 健
おそるべし!カンボジアの日差し