
今年度の最終選考会と表彰式を2月4日(日)に開催いたしました。
大学生中心の若者を対象としたビジネスコンテストは、今や世界中で開催されていますが、カンボジアでも複数のコンテストがあります。
その中で、上位受賞者がアセアン大会(メコンチャレンジ)、そして世界大会へと進むチャンスがあるのは、カンボジアでは、シーセフと国立経営大学が共催している本コンテストだけとなります。
今年で8回目となる本コンテストは、カンボジア代表を決定するナショナルコンテストとなっています。
毎年9月に募集を開始し、一次選考後30チームほどに2か月間の起業研修を提供しています。
最終選考会の1週間前に行う二次選考で10チーム程度に絞ります。
今年はカテゴリーを「農業」「教育」「一般事業」「医療」「テクノロジー」の5つに分けて募集しましたが、例年の2倍近い111件のビジネスモデルの応募がありました。
カンボジアの若者たちの間で、起業熱が高まっていることがうかがえます。
その背景には、カンボジアの大学がビジネスに特化した学部を新設、また、起業家育成教育を行う大学やビジネススクールが設立されているといったこともあります。
1月27日の二次選考では審査員を悩ませるしっかりしたプランが多く、予定の10を上回り、14チームが最終選考会に進みました。
2月4日の最終選考会は、午前からカンボジア日本人材開発センター(CJCC)のキズナホールにおいて、8名の審査員と数百名の観衆を前に、14チームのプレゼンテーションが行われました。
本番の発表に向けて十分な練習を行ってきたと思われる各チームの英語によるプレゼンテーションは堂々たるもので、自分たちのプランに大きな自信を持っている様子でした。
しかし本大会の審査員は各業界の精鋭ぞろい、学生が想定しなかったような鋭い質問に一瞬たじろぐ姿も見受けられました。
ある出場チームの学校の教師に、コンテストの感想を聞いてみたところ、
「学生たちのプレゼンテーションはもちろんよかったが、それよりも審査員の方々がすばらしすぎた」
という声もありました。
朝早くから休むことなく学生と向き合ってくださった審査員の方々に、心から感謝いたします。
さて、結果ですが。
複数のチームが拮抗し、審査員の皆さんによる白熱した議論の末、上位4チームが発表されました。
4チームは18時からラッフルズホテルで開催される表彰式に招待され、その場で順位が発表されるという緊張感のあるイベントとなりました。
メコン大会へ進めるのは1位と2位の2チームだけで、他に3位と特別賞を表彰します。
ラッフルズホテルでの表彰式は、教育省の長官をはじめ、シーセフと国立経営大学の代表、日本とカンボジアのスポンサー企業の皆様、協力大学の代表をご来賓に迎えて行いました。
来賓あいさつの後、乾杯、食事と続き、表彰式では、3位、2位、1位、特別賞の順に発表され、メダルや賞金が授与されました。
今年の受賞賞金は1位が5000ドルにアップし、2位が2000ドル、3位が1000ドルとなっています。
2位の2000ドルはスポンサーのキリンビバレッジバリューベンダー様からのご提供、特別賞はスマートフォン3台で、同じくスポンサーのSmart Axiata社からご提供いただきました。
結果は以下の通りです。
1位 「SPARE」
短時間だけ利用する会議などのスペースを探している人と、家で空いているスペースを持っている人を結びつけるプラットフォーム。
2位 「Eco-Plastic」
プラスチックの廃材を加工して、傷んだ道路の補修材とするという、プラスチックごみの軽減と悪路削減の2つの社会問題を解決できるビジネス。
3位 「WeLocal」
カンボジアの地方で地元のクメール料理を楽しみたい旅行者に食事を提供するビジネス。現金収入の少ない家庭が副業として調理を担当する。
特別賞(Smart Innovation Award)「Home-X」
水漏れやトイレの詰まりを含む家の補修や、車のバッテリー切れ、家のカギを失くすといった日常のトラブルを即時に解決するため、適切な技師を手配するアプリケーション。
本コンテストは今年、応募対象を大学生のみならず高校生を含んだ「学生」とし、広く募集をしました。
3位の「We Local」は、高校生のチームです。
8回の歴史の中で、高校生が受賞したのは初めてのことです。
英語でのプレゼンテーションも流暢で、大学生にまったく引けを取りませんでした。
表彰式の最後の大江教授(シーセフ理事)のスピーチでの「起業家教育は、早ければ早い方がいい、大学生では遅いかもしれない」の一節は、本コンテストでの高校生の活躍でも実証されています。
1位と2位は3月17日にブータンで開催されるアセアン大会に出場することができます。
そこで優勝するとアメリカで5月に開催される世界大会へと進むことができます。
今年のカンボジア代表2チームの検討を期待しています。
最後に、カンボジアビジネスモデルコンテストを支えてくださったスポンサー企業の皆様、協力大学様、ボランティアの方々に、御礼申し上げます。
増子夕夏 大きな写真を見たい方はこちら »