現地リポート|公益財団法人CIESF(シーセフ)は、教育をはじめとして、カンボジアなどの発展途上国を支援しています。

現地リポート

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スバイリエン大学日本語コースの修了式を行いました 2018.09.04 スバイリエン大学日本語コースの修了式を行いました ベトナムと国境を接し、カンボジアの中でも最貧州のひとつといわれるスバイリエン州に、総合大学である国立スバイリエン大学があります。
2015年から同大学とシーセフが協力して、日本語を学ぶための日本語コースを運営しています。

なぜ田舎で日本語を学ぶのか――。
日本語コース設置の目的は、学んだことを活かせるような企業に就職して地元で家族を養いたい、という学生の希望を叶えるためです。
スバイリエン州のバベット地区には経済特区があり、日系企業の工場も複数あります。
工場で作業を行うワーカーは、州内から集めることが容易でも、日本人の右腕となってマネージメントしていけるような現地スタッフは、地方では見つけにくく、育てづらいのが現状です。
まず、地方には日本語人材がいません。
プノンペンといった都市部から採用しても、田舎暮らしが嫌になりすぐ辞めてしまいます。
そこで、日系企業に就職したい学生のために日本語コースを設置し、日本語はもちろんのこと企業で働くのに役立つビジネスマナーなどの研修も取り入れています。
本コースは2年制(1年生と2年生各1クラス)で、月曜から金曜毎日3時間日本語を学んでいます。
2018年8月31日、1年間の修了式を行いました。
2期生である2年生は就職を迎え、3期生である1年生は2年生に進級します。
日本語コースの2年生が大学4年生の場合は、大学を卒業して就職ということになりますが、働きながら土日に大学に通う若者の多いカンボジアでは、大学2年生や3年生でも就職するケースが多々あります。
2期生のほとんどが日系企業から採用され、9月から社会人となります。

修了式では、2年生と1年生全員、ひとりひとりのスピーチがありました。
まだ1年しか学んでいない1年生でも、しっかりした日本語でかなりの長文のスピーチを行うことができます。
2年生は、2年間の学習の成果をぞんぶんに発揮しようと、定型文ではなく個性的で内容の濃いスピーチを行っていたのが印象的でした。

「私はこれから日本の会社で働きます。日本語コースで勉強していなければ、このような夢はかないませんでした」
「日本語コースでは、先生がときどききびしいことを言いました。しかし、それはすべて私たちのためを思って教えてくれたことで、そのおかげで私たちは日本語を話せるようになりました。先生たちとクラスの仲間たちに感謝でいっぱいです」
「日本語を勉強できたことはもちろんですが、時間を守る、環境を守るといった、日本人がとても大切にしていることも教わることができました」

上記は、学生のスピーチのほんの一部です。
でもこのコースの神髄が込められていると感じました。

日本語コースの学生はそれぞれ、経営学、会計、マーケティング、IT、英語など大学で学ぶ専門分野が違います。
それらを学んだ上で、日本語という新しい知識を得て、これから社会に旅立っていきます。

この活動を通してシーセフが行っていることは、事業の運営や勉強を教えるという単純なことではなく、“田舎の若者の未来を切り開くお手伝い”をしているのだと、修了式に出席して実感しました。
自分の専門の勉強が忙しいなか、毎日毎日日本語コースの教室に通ってきていた学生たちに、心から、「修了おめでとう」を言いたいと思います。

増子夕夏 大きな写真を見たい方はこちら »
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