
「カンボジアの地域間格差」
首都プノンペンはカンボジアの中でも経済発展が著しく、市内の多くの子どもたちは教科書、文具(ノート、ペン、定規、コンパス、分度器等)がそろっています。
一方プノンペンから地方に出ると、人々の生活はかなり厳しく、ある州では教科書すら2人または3人に1冊しか持っていない状況です。
カンボジアでは国から子ども全員に教科書が貸与されることになっていますが、各学校に配布される途中でそのいくつかが横流しされ市販されています。
経済的に余裕のある親は自費で教科書を子どもに買い与えていますが、地方では貧しくて買えない家庭が多いようです。
そのため授業は先生が教科書を読み、生徒はそれをノートに書いて自分の教科書を作る作業が主になっています。
もちろん、実験や観察などの活動はほとんどなく、「子どもに考えさせ、知識を深める」時間はあまり無い厳しい状況です。
「大人も子どもも不正に鈍感? 」
3月末に行われた教員養成校の「前期末試験」は、机の上や中にノートや教科書はおいたまま、机は隣同士つけたままでとても厳正な試験をする体制ではありませんでした。
ひとり黙々と解答用紙に向かっている学生は少数です。
多くはあちこちの学生と相談したり、人の解答を見たり、ノートや教科書を公然と見たりしています。
テスト中、担当の先生が教室にいないこともしばしばあります。
宿題は、できる学生の解答を丸写しで、クラス中ほとんど全員が同じ答えでも平気で提出します。
私はカンボジアに来てから、国家的な卒業資格試験でもカンニングが横行していることを聞いていました。
さらに最近は、その不正を黙認してもらうために高校生がクラスみんなで監督の教師に賄賂を贈っていること、多くの教師がその賄賂をもらうことをためらわないでいることも聞きました。
悲しいことに、癒しの国カンボジアも「皆でやれば怖くない」という悪魔の甘いささやきにさらされているのです。
「JICA 主催教員養成校教官研修会 3月31日-4月5日@プノンペン」
私は2年生の修学旅行への同行や担当教官不在時の代理授業で、今回は半分も参加できませんでした。
この研修ではいくつかの研究授業が行われましたが、最後のまとめの話し合いで、研究授業で教育力の向上が確認された点は大変良かったと感じました。
反省点として、教員養成校教官自身の知識力不足、準備に必要な予算不足、時間不足があげられました。
しかし、最後の教育大臣の力強い話を聞いて、時間はかかりますが、これらの問題点が少しずつ改善されるに違いないという望みを抱くことができました。
筧元江
教育アドバイザー
プノンペン小学校教員養成校
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