教育アドバイザーの活動日誌|公益財団法人CIESF(シーセフ)は、教育をはじめとして、カンボジアなどの発展途上国を支援しています。

教育アドバイザーの
活動日誌

教育アドバイザーの活動日誌
卒業生を訪ねて 再びコッコンへの旅① 2013.04.30 卒業生を訪ねて 再びコッコンへの旅① ●校長先生の信念と情熱
「それは私もずっとやりたいと考えていたことで、ぜひ実現しましょう。」
「職員が卒業生の様子を知ることはとても大切ですから。」

昨年秋、校長先生に卒業生のいる小学校へぜひ訪問したいと申し出たときの返事が上の言葉でした。
私たちは昨年5月にもコッコン州出身の卒業生を訪問しましたが、直接現地の学校を訪問することはできませんでした。
学校を訪問するには校長先生の許可が必要と聞いていましたので、そのことを尋ねてみたのです。

プノンペン小学校教員養成校(MTTC)の校長先生は実行力と決断力のある人で、その場で即座に2013年3月に職員全員でコッコンへの視察旅行をやるとまで言い切ったのです。
とはいえ、先立つものがなければだれも行く人はいません。
校長先生の信念と情熱が通じたのでしょうか、ある団体からの支援を得られることになり、無事3月8日~10日、2泊3日のコッコン州への総勢50名程の旅が実現したのです。

●コッスダイ島

今回の主な訪問先は、コッスダイ島にある小学校です。
この島は比較的恵まれているようで、小さな島ですが漁港があり、中型の漁船が何そうも停留していました。
港には船の修理工場や製氷工場もあり、商店も多くその品数も豊富でした。
道路がほとんどコンクリート舗装されているのにも驚き、島の経済は豊かだと感じました。
そのため学校に来る子ども達も比較的恵まれており、授業のない午後は学校の塾にやって来ます。
子どもたちは1時間500リエル(約12円)で学習ができ、一方指導する教師もそれで生活が多少でも潤うのです。
その一方で貧しい子どももいて、中には高学年になると親の手伝いで学校に来られない子どももいると聞きました。

この小学校に訪問したのは9日の7時から10時頃まででした。
さすがここはカンボジア、7時に学校で集合と聞き、日本からの文具などの土産も携えて行ってみましたが、掛け声をかけた当の校長先生はおろかMTTCの先生たちはまだだれ一人来ていないのです。
理科担当の妻は、ぜひ子ども達とその担任の先生の前で簡単な実験をしたいと願っていましたので、すぐに小学校の副校長先生の許可を得て6年生の教室に向かいました。
同行してくれた通訳の助けを得て「電気を通すものと通さないもの」の実験を手回し発電機を利用して披露しました。
ある子どもに回させると勢い余って電球が切れてしまうというハプニングもありましたが、子ども達にとってこの実験を見るのは初めての経験で、どの子どもも大変興味を持ってくれました。

小学校にはMTTCを卒業した若手の先生も多く、職員と卒業生がお互いに再会を喜び合っていましたが、残念なことに私たちが赴任した2010年秋以降の卒業生はその中にはいませんでした。
あちこちの教室を見て回りましたが、暗い中でも我慢して勉強しているのが印象的でした。
幼児部では熱心に文字指導をしており、そのため小学生の識字率は高いと感じました。
売店がありましたが、簡単な飲食物のみの販売で、MTTCの付属小学校のような文房具はまったくありませんでした。

参観の後はMTTCと小学校の関係者の会合となり、小学校の校長先生より以下のような説明がありました。

* 児童数 幼児部105名、小学部493名、
* 教員数 校長を含め12名
* 学級数 10学級、幼児部は1学級(2名体制で1名は小学校からの応援を得ている。)
* 設備 電気はなく、水道も引かれていないので、子どもは自宅から水を持参している。
幼児部(20年程前に設立)の他に、中学校と2年前にできた高校を併設
島内の学校は1校のみで、児童生徒は近隣の島からもやって来る。
学校のすぐ横の家には電気も水道もあるのに、それが学校にはないというのは残念なことです。

その話のあと、私たちから日本の学校から寄贈された文具類や自分たちで用意した簡単な教具の説明をしたり、簡単なゲームを紹介したりしました。
MTTCの校長先生の挨拶、記念品贈呈、記念撮影と続いた後校庭に出ると、休憩時間になった子どもたちがいっぱい集まってきて私たちの周りを取り囲みました。
この子ども達の純粋な眼差し、屈託のない笑顔を見て、うれしいと同時に、彼らの未来を担う教師の役割や教育の持つ意義の大きさを改めて感じるのでした。


筧 八郎
教育アドバイザー
プノンペン小学校教員養成校
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