
2013年3月8日~10日、2泊3日のコッコン州への総勢50名程の旅が実現したのです。
4月30日掲載の教育アドバイザーの活動日誌のつづきです。
●スラエオンバル
10日朝、コッスダイ島の人たちとの別れを惜しみつつ、同じコッコン州にあるスラエオンバル(日本語にすれば塩田)へと向かいました。
島から戻る船の船頭の一人はどこかで見た顔だなと思ったら、何と現役のMTTCの学生でした。
そういえば、2日間島で夕食をいただいた家は、やはりMTTCの1年生の学生の自宅でした。
先生も卒業生も学生もまるで同じ親族のような温かい雰囲気に包まれていて心地よい思いがしました。
今の日本ではほとんど見られない、とても羨ましい光景でもありました。
JPG昼は、スラエオンバルにある、これまたある在校生(と卒業生)の自宅を訪問しました。
どの職員もそこに集まった10~20名の卒業生との再会に歓声を上げていました。
私たちの馴染みの卒業生も大勢いて、私たちも大いに再会と互いの無事を喜び合いました。
楽しい会話とともに、そこでふるまわれた食事をおいしくいただきましたが、話を聞いていると、同じコッコンでもコッスダイ島よりかなり厳しい状況にあることもわかりました。
昨年も同じようなことを聞きましたが、今回の卒業生に聞いてもこの近郊は学級数が3つ位の小規模の学校が多くあることがわかりました。
何人かの卒業生は複式学級を担当しています。
子どもたちの家庭はコッスダイ島より貧しくて、授業後の塾は開かれていません。
新任教師たちは昨年の10月以来まだ給料を受け取っていませんし、2年目以降の教師でも毎月受け取るけれども時々遅配があり、訪問した時はまだ2月分をいただいていないとのことでした。
そんな中、一人のMTTC(プノンペン小学校教員養成校)の数学の先生が、自分で作成した小3・小4用の指導書を教え子に無料で配布している姿を見て、いつまでも卒業生のことを心配してくれる人がいることは素晴らしいことだと感じました。
理科の授業はなかなか実験をするのが難しい様子ですが、身近なものを利用し、できる範囲で実験観察に取り組んでいると言ってくれたり、卒業時にこちらからプレゼントした資料が役に立っていると話してくれたりする卒業生も中にはいて、うれしい気持ちになりました。
●アンケートの実施
今回の訪問にあたり、校長先生にアンケートを実施してよいかと尋ねると快諾していただくことができました。
事前にそれを渡して意見を求めておいたのですが、何と出発当日校長先生もそれとは別に自分でアンケート用紙を作成して私たちに見せてくれました。
おまけに、両方のアンケート用紙を沢山コピーして自分のカバンの中に入れておいてくれていたのです。
いつ、どうアンケート用紙を配ろうかと心配していたのですが、その心配はまったく無用でした。
私たちの知らないうちに、校長先生は2種類のアンケート用紙を卒業生に渡してくれていたのです。
旅行から戻った翌週に、早速校長先生から17枚ほどの回答用紙を受け取りました。
校長先生にはいつも感謝の気持ちでいっぱいです。
●おわりに
比較的楽天的なカンボジア人とはいえ、やはりこうした恩師や仲間との集まり、つながりが苦しい時の支えになるのではと思うと、今後もこうした機会を持つことはとても大切だと思います。
「それはこれからもずっとやり続けたいと考えていることです。」
「職員が卒業生との触れ合いを持ち続けることはとても大切ですから。」
ぜひそんな声が上がり、それが実現されるよう願ってやみません。
筧 八郎
教育アドバイザー
プノンペン小学校教員養成校
算数担当
写真 スラエオンバルで再会を喜び合う職員と卒業生たち 大きな写真を見たい方はこちら »