
これらは日本のロータリークラブから寄贈された、日本製の高品質のものです。
前任のアドバイザーの先生が、活用しやすくするために木箱から出して保管しておいてくれました。
理科の観察の基本は、何といっても顕微鏡です。
水中の微生物を見たり、花粉を見たり、植物の細胞を見たり、気孔を見たり、と用途は多様です。
そこで、私のカウンターパート(以下CP)である3名のカンボジア人教官の資質向上のために顕微鏡の使い方の示範授業を行うことにしました。
授業前に「顕微鏡をのぞいたことがある人いますか? 」
と学生に聞くと、誰ひとりとして手が挙がりませんでした。
これが現実です。
授業では、玉ねぎの細胞と空心菜の導管を見ることにしました。
授業に向け、顕微鏡の使い方の資料を日本語版とクメール語版で作成しました。
CP用には、指導案も作成しました。
空心菜は、事前に赤色水に漬けておきました。
授業がはじまると、どの顔も真剣そのものです。
学生の視線は、すべて私の手元に集中しました。
CPも同様、学生の後ろからじっと見つめていました。
授業が進むにつれて、学生たちに自主的に取り組んでみようとする動きが見られてきました。
学生たちは、これまで見たこともないミクロの世界にどんどん引き込まれていきました。
最後に、CPに自分の皮膚の細胞を見た経験や玉ねぎの皮を見た経験を話してもらい授業をまとめました。
授業中の学生たちの真剣な眼差しと、終わった後の満足そうな顔が、実に印象的でした。
学生たちのくちからは、
「玉ねぎの細胞がレンガを積んだように見えました。」
「核がはっきり見えました。」
「空心菜の導管が赤く見えました。」
「初めて見て感動しました。」
「うれしかった。」
等々、感動の言葉が続出でした。
これが、リアルカンボジアです。
CPは、「次は自分が授業をしたい」と意欲満々でした。
CPの指導力を向上させ、学生たちに多様な経験を積ませることにより、質の高い教師を養成していくことはカンボジアの喫緊の課題です。
今後も、課題解決に向けて微力ながら全力を尽くしてまいりたいと考えています。
終わりに、ロータリークラブをはじめ、教材教具をご支援くださっている諸団体のみなさまに、この場をお借りして心から感謝申し上げます。
加藤弘昭
教育アドバイザー
プレイベン小学校教員養成校
理科担当 大きな写真を見たい方はこちら »