
2年生(50人)の学生は多教科の授業、奉仕活動、授業後の清掃と枚挙にいとまがない。
そんな折、2年生25人を対象に3点の質問をしてみた。
以下は結果と考察である。(数字は人数)
1.なぜ教師になろうと思ったのですか。
(回答)
・知識を子どもたちに広めたい。(12)
・教師は他から尊敬される仕事だから。(7)
・子どもの頃よい教師にめぐり会い、学習の大切さを教えてもらったので、それを伝えたい。(3)
・自分が育った田舎は貧しく、学校に行けない子がいたのでそんな子どもたちに教えたい。(3)
2.あなたが教師になることを親はどう思っていますか。
(回答)
・親は喜んでいる。嬉しい。(1)
・教師は誰からも尊敬されている。(7)
・親として鼻が高い(3)
3. 結婚、赤ちゃんができても教師は続けますか。
・続ける、歳をとるまで続ける(19)
・ステップアップして他の公務員になりたい(6)
20人の学生からは異口同音に金太郎飴を切ったような同じ答えが返ってきた。
すべてが優等生的な意見で非の打ちどころがない。
別な言い方をすれば、実に真面目で面白味のない意見であった。
他と異なる意見はないのか探りを入れたがなかった。
考えてみると、街の中で言い争いや喧嘩をしている姿は見たことがない。
カンボジア人同士の話し合いでも「バー、バー(はいはい)」や「アインチョンハーゥイ(そうだね)」や「ナガイ、ナガイ(そうそう)」と相槌を打つ声をよく耳にする。
これも相手を思いやり、信頼していることからくるものなのだろうか。
とすると20人の学生の答えがこの結果になるのもうなずける。
みんなが共通の認識や考えを共有し、この国の歩みのベクトルが合わさっているように見える。
その基盤は既にできていることを知った。
さらに、カンボジア社会では教師という職業は、給料の安さはあるが、社会的に認められまんざら割の合わない仕事でもないようだ。
学生たちの屈託のない明るい笑顔で応える姿を目にする時、自分のことだけを考えず、「貧困や、自身が生まれ育った田舎の子どもたちのために知識を広めたい」の答えにも金銭にとらわれない学生たちの心の優しさを覚える。
近い将来、この国は地に足をつけたますますの発展を必ず実現するだろう。
佐藤厚一
教育アドバイザー
スバイリエン州小学校教員養成校
理科担当 大きな写真を見たい方はこちら »