電気回路の学習|教育アドバイザーの活動日誌|公益財団法人CIESF(シーセフ)は、教育をはじめとして、カンボジアなどの発展途上国を支援しています。

教育アドバイザーの
活動日誌

教育アドバイザーの活動日誌

2016.12.26

電気回路の学習

電気回路の学習 昨年の電気回路の学習は、「直列と並列のつなぎで、明るさが強いのはどちらですか?」という課題で取り組みました。
そして、電池の直列・並列つなぎの実験、豆電球の直列・並列つなぎの実験を行いました。
実際に電池や電球を使って実験したことがない学生たちは、豆電球が点灯すると「おぉー」と歓声を上げ、楽しそうでした。

実験が終わり、結果を発表したときでした、先生は「なぜ電池は直列つなぎで、豆電球は並列つなぎの方が明るいのか?」と問いかけたのです。 
電池の直列つなぎの方は「2個分の電圧がかかるから」と数人が答えましたが、電球の並列つなぎの方は、ほとんど答えられませんでした。
実験で調べていないことでもあるし、当然かと思いました。
そして電流計・電圧計の必要性を感じ、ロータリークラブのご支援で教材をいただくことになりました。

電流計・電圧計が届くと、カウンターパートの先生と使い方の研修会を行い、それぞれの明るさの違いを測って確かめてもらいました。
3人の先生は、夢中になって取り組んでくれました。
今年の「電気回路」の学習では、2人の先生が電流計・電圧計の使い方も指導するというので楽しみにしていました。
しかし「電池の直列・並列のつなぎで、明るさが強いのはどちら?なぜ?」と問いかけているのに、実験では電流計も電圧計も使いませんでした。
電池の直列つなぎ・並列つなぎをし、明るさを目で確かめただけです。
それにもかかわらず、考察の前に「なぜ、電池の直列つなぎの方が明るいのか?」と問いました。
学生は、「電圧が2個分になるから」などと答えていましたが、果たしてこれは実験の結果から導き出されたものと言えるのでしょうか。
新たな課題として、電流計や電圧計を使って確かめるべきことなのではないでしょうか。
(日本では、4年生で電流計を使って調べさせています。)
他の先生も、やはり同じように授業していました。
付属小学校の6年生の授業も同様でした。

実験道具がないカンボジアでは、先生が教科書に書かれている内容について問い、学生が答えるという学習をしてきたそうです。
他の単元でも同様な場面がよくありますから、その名残りが色濃く反映しているのかもしれません。
また、先生も初めて指導する実験器具ですので、扱うだけで精いっぱいだったのかもしれません。
2人の先生は、この授業と関連させることなく、次の時間に電流計・電圧計の使い方を指導しました(授業は2時間続きです)。
残念でした。
「なぜ明るいのか?」を調べる実験器具として電流計や電圧計を指導してほしかったのです。
使い方の研修をするとき、授業を想定して行う必要があったのだと反省しています。

学生たちが2年生になり、模擬授業で「電気回路」の単元に取り組むことになりました。
先生と同じく「電池の直列つなぎ・並列つなぎは明るさが強いのはど知らですか? なぜ?」
という課題で授業しようとしています。
指導担当の先生に「電池の直列・並列つなぎの実験だけでは、なぜ明るくなるのかは明らかにならないのでは?」と投げかけました。
先生は納得して「いったん授業をまとめてから扱うことにする。」と言っていましたが、学生が、40分の中で電流計を扱うことは難しいでしょう。

また新しい1年生が入学してきました。
新年度の授業では、電流計や電圧計を活用できるよう、先生たちと一緒に考えていこうと思っています。


齋藤悦子
教育アドバイザー
スバイリエン小学校教員養成校
理科担当
          

写真:電圧計を使って電圧を図る先生と学生
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