
前回書いた通り、カンボジアでの活動を通して、カンボジアの教育環境や教員養成校の実情などいろいろ感じることもあったので、今回は算数・数学の分野で、日本との違いや、彼らの抱えている課題の幾つかを2回に分けて紹介する。
①写真のように分数で、「1と3分の2」を「1かける3分の2」と考えている人が結構いて、1と3分の2=3分の2としてしまう。
先生の中にも少し前までそう思っていた人もいたし、通訳に尋ねてもそんなことは教えてもらっていないようで、間違っているというよりは、そう思い込んでいるのかもしれない。
②分数で表す問題で、3分の1 と解答する学生が結構多かったが、古い5年の教科書にも似たような誤った表記がしてあった。
分数に関しては、かなり混乱している学生(一部の先生も)がいるようで、誤った図示の仕方をしたり、約分や通分がよく理解できていなかったりするケースが見られる。
③割り算の筆算の方法の違い。
紹介できないが、日本と違った方法のため慣れるのに苦労した。
新しい高校の教科書の多項式の割り算で日本式のやり方も紹介されていると、一人の先生から教えてもらった。
④因数分解の解き方の違いもある。
何となく不思議な、こちらには複雑に見える解き方を紹介していた。
もっとすっきりとしたやり方の方がいいと思うけれど、慣れの問題なのかもしれない。
⑤比例の表示法で、a:b=c:d の形式は見たことがなく、分数の形で示す。
⑥大括弧と中括弧の順序が日本と逆で {[( )]}の形になっている。
括弧については、表記法はともかく、計算そのものが曖昧な人もいるようだ。
⑦計算結果を分数で表示するより小数表示をすることが多い。
分数のままでよいと思うところでも小数にすることが結構多いように見えるが、これは簡単な計算でもすぐ電卓(携帯の電卓機能)を利用することが一因かもしれない。
⑧小数点をコンマ(クビアッ)で表示。
新しい教科書では点(チョイ)になっている。
普段の様子を見ていると、先生も学生もまだまだコンマが圧倒的に多い。
たとえば、1.5を1,5と表示する。
⑨小学校で簡単なルートを使った問題が出てくる。
例:ルート36 など
つづく。
筧八郎
教育アドバイザー
プノンペン小学校教員養成校
算数担当