
今年の10月8日からカンボジアのプノンペン小学校教員養成校に、算数担当の教育アドバイザーとして赴任した古池千秋先生。
日々の活動日記が日本事務局に届きます。
はじまったばかりの現場での奮闘、カンボジアでの4人共同生活の様子などを少し紹介します。
CIESFの教育アドバイザーは、教員養成校で教員志望の学生を指導している教官と共に、教材づくりのアドバイスや教授法の研究などを一緒に行っています。
教材づくりについては、学生たちが教師となって地方の学校に赴任した際も、手に入る材料を用いて仕上がっていることが理想です。
田舎の学校では、理科や算数(もちろんその他の教科も)で使用する教材など、ほとんどありません。
教科書に描いてある白黒の挿絵で紹介して終わりという授業もあります。
もっと多くの教師たちが、たとえ手作りでも教材を使って、子どもたちが実際に目で見て、触れて気づきを得るような授業ができるようになることを目指しています。
それでは、古池先生の11月初頭の様子を見てみましょう。
11月2日(土)
学校は休みであるが、午前9時からCIESFアドバイザー会議であった。
この会議は毎月1度行われ、プノンペン小学校教員養成校、同中学校教員養成校、プレイベン小学校教員養成校、同中学校教員養成校の4校で活動している、教育アドバイザーが全員集まって情報共有を行う。
プレイベンで活動する先生たちの話を聴くことができてとても参考になった。
プレイベンという街は、州都でありながら、プノンペンに比べると寂しい田舎街だ。
とくに観光地でもないので、定期運行のバスも廃止になったとのことで、不便になったようだ。
午後は、授業で使う教材のトランプと封筒を買いに、IBCという文具店へ出かけた。
さて、「トランプ」は何と言って買えばいいのか? 「トランプゲーム」で店員に通じるかと思ったが、まったく通じない。
絵を描いて説明したところ、「ビーア!」と言ってきた。
ビールを表す「ビーア」と発音がほとんど同じで、面白い。
買い物を終えたところで、先日プノンペン市内で見つけたサウナへ行ってみた。
そこには銭湯と同じ湯船があり、幸せ! 湯船につかるのは実に20日ぶりである(カンボジアは暑い国なので普段はシャワーで充分)。
11月3日(日)
休日なので、午前中は教材探しにデパートに行ってみた。
カンボジアのデパートには、いろいろ怪しいものがたくさんある、例えば、ルイ・ヴィトンの財布が300円など・・・・・・。
午後は、宿舎に戻り、パソコンで授業で使用するプリントをつくった。
カンボジアの学校には、副教材がほとんどないので、教員養成校でも教科書以外の副教材は教官が自分で作っている。
夕食は、自転車に乗って久しぶりに日本食を食べに出かけた。
どてカツ、串あげ、じゃがいもベーコン、そして日本など久しぶりの和食に舌鼓。
平日はまかないの人が料理を作ってくれるが、休日は自炊か外食になる。
11月4日(月)
午前中いっぱいは、明後日水曜日に使用する教材づくりと、学生へのアンケートの印刷などを行った。
午後は、カンボジアの視察ツアーに来ていた日本人の先生たち15名が、プノンペン小学校教員養成校に来校したので、学校説明などを行った。
11月5日(火)
午前、明日の教材づくりを継続。私が日本語で作ったものを通訳がクメール語へと翻訳してくれる。
例えば、「100%」をクメール語にすると、%は「ピアックローイ」、1は「モイ」、100は「ローイ」なので、「モイ・ローイ・ピアックローイ」となる、興味深い。
午後はカウンターパートのひとり、ヘムホーイ先生の授業見学と、B組7時間目で模擬授業「17段目の不思議」を行う。
授業については、C組とA組で同じことをやっていたので、今までで一番うまく進んだ。
11月6日(水)
ずっと用意していた教材を使った授業「数列の和(自然数和)」の授業。
クメール語での掛け算は難しい。
偶数個の数列の和はうまく納得してもらえたが奇数個の場合なかなか理解してもらえなかった、教材づくりが必要だと思った。
午後も別のクラスで同じ授業。
午前中の授業で不十分だったところを模造紙に書いて教室に持って行くと、だいぶ授業が改善されたようで、学生たちが頷いている姿も多く見られた。
日々、改善が必要である。
古池千秋
教育アドバイザー
プノンペン小学校教員養成校
算数担当