ベトナムの現状

ベトナムの経済は、これまで中国と並んで、アジアでも群を抜く高成長と安定性を示してきました。これを可能にした要因のひとつは、外資導入による工業化です。近年は中小企業の進出が増えており、裾野産業が拡充しつつあります。
ベトナムに進出した日本企業からすれば、生産拠点としてのベトナムは、労働人口が多いことと低賃金が魅力となります。労働者の教育という面について、産業人材育成を国策とするベトナムでは職業訓練校の整備・拡充などを進めており、特に職業訓練に力を入れている省では、職業訓練校に日系企業向けのクラスを設置するなど、日本をターゲットとした人材輩出を行っています。しかし、この国策も未だ大きな効果は見られず、課題を抱えています。
ベトナムの産業人材のほとんどは、知識や概念をもち合わせていても、実務上の知識や実習の経験が不足しています。また、高等教育を受けたエンジニアはプライドが高く、現場で汗を流す、油まみれになるといった仕事を嫌がる傾向にあります。進出する外資系企業が増え続けている現在では人材確保が難しい状況となっていることや、定着率が安定していないなどの問題を抱えていることもあり、ベトナムでは特に産業人材育成分野における海外からの支援が求められているのです。