農村の現状

2010年7月15日

農村の現状1.jpgカンボジアは農村大国であり、人口の70-80%が農業に従事している国である。

農村部での収穫が十分でないため、各国政府や民間NGOは農村部の支援に力を入れてきている。
二期作(二毛作)や三期作(三毛作)を行う田んぼも見られるようになり、一見、農民の暮らしは豊かになったように感じとれる。
しかし、水面下では農民たちは貧困への道を歩んでいる。


カンボジアには大河メコン川とその支流など豊かな水資源があるにも関わらず、雨水に頼った農業を行っている地域が多い。
そのため、一期作農業しか出来ない地域も多く、農閑期には出稼ぎや漁業などの副業の収入を頼りに不安定な生活をしている。
各国政府や民間NGOは、生活するのに十分な収穫を安定的に持続させるような支援活動をしている。
これを機会に少しお金に余裕がある農民は、農薬や肥料を買い、農機具を買い、収入を2倍、3倍へと増やしてきている。


農村の現状3.jpgそうした余裕がある農民たちがすることは、農地を買い足すことだ。
貧困家庭から安く土地を買い、さらに収穫量を増やす。
土地を手放した農民たちは、小作人として安いお金で雇われるしかない。
土地を買った者は、儲けたお金を人に貸し、農業をしなくても収入を得ることができるようになる。
農業成金が増え、田舎に豪邸や高価な車が走っている。


農村の現状2.jpg農業成金が悪いわけではない。
彼らは少しばかりのお金と運があり、努力した結果、チャンスを掴んだのだ。
しかし、こうして農村においても着実に格差が開いてきているのが現状だ。

元々現金収入の少ない農村部では、農耕期に入ると苗を買う現金がないため、金貸しやマイクロファイナンスからお金を借りる。
金利が安くはないのに、必要以上に借りて返済不能となり、土地も巻き上げられてしまうケースが増えてきている。
返済期限は長いが、その間、安定した収穫が出来ない可能性は十分に考えられる。
返済不能となった人の多くは、家族の誰かが病気になったり、ケガをしたりして、予想外のお金が必要となってしまった人たちだ。


豊かになってきた農地とは逆に、その土地の権利を持っているのは、一部のごく限られた人たちだということもある。
小作人を続けて家族を養っていけるほど、この国の環境は甘くない。
長閑な田園地帯を眺めていると、にっこりと素朴なカンボジア人たちが微笑んでくれる。
その笑顔の裏で、しっかり自分の土地を守り続けている人たちがどれぐらいいるのか、考え込んでしまうことがある。
貧困という負のスパイラルを断ち切るのは、簡単なことではない。

松倉洋海

*写真1~3 米どころプレイベン州の農家の人々の素朴な笑顔

 

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