教育アドバイザーの活動日誌|公益財団法人CIESF(シーセフ)は、教育をはじめとして、カンボジアなどの発展途上国を支援しています。

教育アドバイザーの
活動日誌

教育アドバイザーの活動日誌
カンボジアの試験における不正行為(カンニング) 2013.10.22 カンボジアの試験における不正行為(カンニング) 1517年と聞くと、歴史に詳しい人ならルターの宗教改革を思い出すことでしょう。

罪の赦しを贖宥状(免罪符)の購入で得られるということに対して、ルターが怒りの声を上げたというものです。
この贖宥状の発行、中世では公益工事の推進のためによく行われていたようですが、これを個人の私腹を肥やすために行った人もあったようです。
神聖なることでもこの有様ですから、俗世のことについてお金がよからぬ目的のために動くというのは当たり前かもしれません。

カンボジアの教育の現状を見たとき、試験における不正行為がよく取り沙汰されます。
カンボジアでは通常7月に中学3年生と高校3年生にとって人生を大きく左右する卒業試験が行われます。
この卒業試験の成績でほぼ進路が決まってしまうためにどの学生も必死です。
つまり、入学試験よりもこの卒業試験の成績の方が進学に大きく影響するのです。
このため多種多様なカンニングも横行しています。

アンチョコ本を持ち込むこと(最近は検査が厳しくなっているようです)は当たり前で、私たちが勤務していた教員養成校も試験会場になりますが、終わった後にいくつも捨てられています。
最近では、携帯電話のワイアレスイヤホンマイクを利用することもあるらしいです。
当局も不正には神経をとがらせているようで、試験中は試験会場付近を警察が巡回していて、学校の周辺で人が集まっていると解散させられるとも聞いています。
彼らが会場内の学生との連絡、交信をしないようにするためです。
試験期間中は、私たち教育アドバイザーもも教員養成校に入ることが許されていません。

また、事前に金銭の授受を行ってはならないとの通達が出されるようです。
シェムリアップ州(アンコールワット遺跡のある所)のある日本人の報告では、州内の高校教師数百人は、州外へ監督に行ったとのことです。
例えばプノンペン近郊にシェムリアップから4泊5日で監督に行く場合、一人あたり90$くらいの出張旅費が配られたようです。
現実には残念ながら試験監督にお金を払って不正を見逃ししてもらうことも頻発しているようですし、不正が減ったともあまり聞きません。

不正に対する意識は徐々に高まっているようですが、背に腹はかえられないようで、勉強と同時に不正が見つからない、不正を見逃してもらう対策にも必死になっているのです。
監督者と受験者が妙なところでwin,winの関係になっているようにも見えます。

不正が横行するのは卒業試験だけではありません。
小学校の通常の試験でも、私たちがいる教員養成校の定期試験でも不正が行われています。
金銭の授受はなくとも、堂々とノートや資料を見ています。
先生がちょっと外出すると早速あちこち仲間をつくって相談しています。
先生もわざと外出して学生たちを間接的に支援?しているようにも見えます。
先生がいても平気でやっている、つまり先生が黙認していることもあります。

あるとき、ひとりの数学の先生にみんな同じような答えになったらどうやって成績をつけるのですか?とおかしな質問をしたことがあります。
先生の答えは曖昧でしたが、日頃の授業の様子も加味する、字がきれいである、一定の答え方に沿って正しく書けている(数学の場合)ということもポイントのようでした。
別の機会にはその先生は全員に異なった問題を出していました。
お互い相談しあえば何とかなってしまうので根本的な解決になっていませんが、それでも大した努力だと感心しました。

試験官である先生の給料が安い、学生が勉強をしっかりしない、そうしたことを認める習慣ができ上がってしまっているなどが不正を生む原因かもしれません。
監督にお金を渡すのは、お布施と同じ感覚だという意見の人もいます。
この状態でカンボジア社会がうまく回っているとするなら、特に目くじらを立てることもないと考えている人もいます。
文化や慣習の違い、これまでの経緯などを総合的に踏まえて判断する必要があります。
それでも、自分の能力で、自分の考えで、自分自身で問題を解く努力をしないと、本当の実力は身に付きにくいものです。

現場の先生方がきちんと試験を管理する(意識を持つ)ことが必要です。
ある教員養成校の卒業生は、不正に寛容な他の先生たちや監視が厳しいため自分のことを快く思っていない生徒との対応に苦労しているとのことでした。
学校現場で互いに不協和音を生むことになってはいけませんが、徐々にでも改善していく必要があります。

最近の選挙結果を見てもカンボジアは確実に変化しているし、変えていくエネルギーも十分蓄えていることがわかります。
カンボジアの人たちが自分の頭でしっかり考え、実力をつけ、カンボジアの教育、ひいてはカンボジアの国そのものが実り豊かなものとなるよう期待しています。
現代のルターがカンボジアにきっと現われると信じながら。


筧 八郎
教育アドバイザー
元プノンペン小学校教員養成校
算数担当

写真 プノンペン小学校教員養成校の合格発表。学生に交じって教官の姿も 大きな写真を見たい方はこちら »
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