教育アドバイザーの活動日誌|公益財団法人CIESF(シーセフ)は、教育をはじめとして、カンボジアなどの発展途上国を支援しています。

教育アドバイザーの
活動日誌

教育アドバイザーの活動日誌
カンボジアの教科書事情 (2) 2013.12.10 カンボジアの教科書事情 (2) 【1.教科書の内容】
CIESFのウェブサイトの「教育の現状」の中に「教科書等教材の問題」という項目があります。
要約すれば次のようになります。

①外国で作られた教科書がそのままクメール語に翻訳されて使われている。
②翻訳者が教科書の内容を理解しておらず、誤訳も多い。
③教科書の内容がカンボジアに即していないことも多い。
④学生が、教科書に掲載された実験や器具を見たことも触ったこともない。

指摘されているように、教科書の内容には改善すべき点がたくさんあります。
段階をふんで系統的に学べるような記述になっていないことも結構あります。
同じような内容を複数の学年で学ぶこともありますが、くり返し学習という意味なら大丈夫でしょう。
逆に、それまでに押さえておくべきところが抜けていて、急により高度な概念が登場することもあります。
教科書の記述は正しいという考え方が結構根強いようですが、この点も問題です。
そのために教科書の内容の検討、記述のチェックがあまりなされていないように思います。

誤りそのものを見抜けない場合は、誤ったままで覚えていってしまうことになります。
しかし最近は、おかしいと気づく先生たちも結構増えているように感じます。
ただ、予算や時間や担当する指導者の能力不足などもあって、簡単には改訂できないところもあるようです。
クメール語による教科書以外の情報が極めて乏しいため、比較検討するということが難しいということも課題と言えるでしょう。


最近JICAがSTEPSAM3という新しい教育支援策を実行しはじめました。
中学校の理数教科に的をしぼって活動を展開しています。
新しい教科書を作るのではなく、今ある教科書を利用しています。
そして、その内容や記述の誤りを指摘しながら、どう効果的に指導していったらよいかの指導書を作成し、それを現場の先生たちに広めていく活動をしていると聞いています。
CIESFの教育アドバイザーも、教科書の内容や指導法について養成校の担当教官をいろいろ支援できると思います。

【2.算数の教科書の問題点】
算数の教科書を通訳といっしょに翻訳しながら内容を検討していきました。
明らかな誤植も結構ありますが、この点はすぐ気づくことですのでそれほど問題ではありません。
正確な図表でないところもいくつかあります。
例えば、6時半を示す図の短針も長針も、ともに数字の6の位置に描いてあります(小2)。
正三角形の図が二等辺三角形になっているところもあります。
面積や体積を求めるのに、必要な数値が与えられていないために解けない(予測して解く)問題もあります。


6年生になると結構難しく、不適切な問題やまったく解けない問題も出てきます。
現場の先生たちはどうしているのか気になりますが、残念ながら尋ねる機会を逸しました。
教員養成校のある数学担当の先生は、現場の先生から相談を持ちかけられたと教えてくれました。
尋ねる先生はまだいいのですが、そういう部分は飛ばして教えないとか、誤ったままで教えているとかなると、それこそ不適切なことですね。

その一方で、かけ算や分数などでクメール語の特徴ゆえの問題もあります。
カンボジアの人たちが長い間ある方法で教えられてきた背景もあります。
一方的におかしいと判断せずに、担当教官や通訳なども相談しつつ、どう改善していったらよいか考えるとよいでしょう。

【3.教科書の改訂】
教科書の改訂が進んでいないわけではありません。
小学校の教科書については以下のように少しずつ改訂されてきました。
2010年秋 小1~3まで新しくなる
2011年  小4,5が新しくなる
2012年  小6が新しくなる
2012年  カラー印刷の教科書の登場(小2のクメール語など)

改訂にともなった研修は結構行われている様子です。
ただし、移行期間、移行措置はまったくなく、発行されたらすぐに新しい内容に変更します。
また、改訂したらある部分は改悪になってしまったという話も聞きます。
教育現場ではやはり混乱も見られるようです。

その一方で、教科書の改訂がまた近いうちにありそうだと漏らす教員養成校の先生もいました。
今後の動向にも目が離せないようです。
最後に指摘したように、今まで白黒だった教科書が少しずつカラー印刷されるようになってきました。
クメール語(いわゆる国語)でしたが、理科はぜひすぐにでもカラー印刷してもらえることを願っています。

【4.カンボジアの教育力を高めるには】
カンボジアの教育と関わってきて、今後の課題を少し考えました。
まず、教育予算を増やすことです。
教師の給料が低く、教育予算も十分でないままではなかなか士気も上がりません。
教員の数も増やしていく必要があります。
努力は認めますが、まだまだ多くを外国からの支援に頼る現状では難しいことです。
でも国家の将来は教育にかかっているという思いで、思い切った施策を国の指導者に願いたいものです。

次にクメール語による正確で多彩な情報の提供と、その享受を挙げたいと思います。
教科書や指導書や教材の充実もこの中に含まれます。
内容にも記述にも課題の多い教科書しか頼るものがない現状は悲しいことです。
英語でもフランス語でも日本語でもなく、母国語での情報が大切です。
CIESFはじめ多方面からの支援で、1日も早く立派なカンボジアの教育指導者が増え、彼らからすばらしい情報がどんどん発信されるようになることを願っています。

そうすれば、教員の質が、そして子どもの学力が必ず高まってくると思います。
比較する素材がたくさん提供されるようになれば、自ら考える力も育ってきます。
カンボジアの特に若い人たちには、すばらしい勢いというものがあると感じています。
できないのではなく、経験が乏しく、方法がよくわからないだけです。
日々変化する世界情勢の中で、カンボジアがしっかりと自立し成長していく姿を夢見ています。


筧 八郎
教育アドバイザー
元プノンペン小学校教員養成校
算数担当 大きな写真を見たい方はこちら »
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