【教育アドバイザーの活動日誌⑯】オリンピックスタジアム
2010年9月 3日
夕焼けが、西の雲海を赤く燃やし、遠くの建物がシルエットに浮かび上がる。
ここスタジアムを、風がやさしく包み込み、頬をなでていく。
腹に響く鈍い音響は、体の血を高揚させる。
スタンドの上部で半円状に、人垣が左右に波打っている。
私は、その前で呆然とたたずむ。
この心やすらぐ雰囲気。
誰彼なしに、ジョギングしたり、サッカーをしたり、ダンスをしたり。
これがこの国の顔なのか!
みんな小ぎれいで、老若男女様々に楽しんでいる。
こんなにもひきつけるものは、何なんだ!
どこかで聞いた音楽、それも懐かしい、かつて自分も好きだった曲が、大スピーカでガンガン流されている。
そう、“恋の季節”だ。
かつて、テレビで見た、“恋の季節”だ。
信じられない。
誰か、知っている人と出会ったような気持ちだ。
思わずキョロキョロしてしまう。
頑なな心も、開放的になり、俺も仲間に入れるかな。
錯覚か。
夕方になると、このスタジアムは、カンボジア人の憩いの場になっている。
もちろん、周りには食べ物屋があり、駐車場もたくさんある。
いつもこの場を立ち去りがたくなるが、暗くなる頃には帰らざるを得ない。
”お祭り”の真っ最中に、一人帰るこのもの足りなさが、ここは異国だと教えているようだ。
斉藤 勝
教育アドバイザー
プノンペン中学校教員養成校 数学担当











