【教育アドバイザーの活動日誌⑫】1年を振り返って(その8)学生たち

2010年8月20日

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化学準備室は物理、化学、生物と並んだ実験棟の物理実験室と化学実験室の間にあり、入り口は、化学実験室の後ろの壁にあるため、準備室には、一度化学実験室を通らなければ入れない。

 

この実験室にはガスも水道も実験台もないので、それぞれの実験室には、「数学-物理」、「物理-化学」「生物-地学」の専攻生が日常的に普通教室として使っている。
そのため、学生たちとは、毎日、朝から晩まで顔を合わすことになるが、言葉を交わすことはない。
何しろ私はクメール語ができず、彼らは日本語ができないから。


その8-2.jpg彼らは学校に来ると、まず自分の教室、そして廊下と前庭の掃除を始めるが、他の者が掃除をしていても知らん振りをしている者もいる。
掃除のついでに、準備室の前の廊下や前庭も掃除してくれるかというと、そういうわけでもない。
私が来た当初は、自分で準備室の前を掃除していると、自分がやるからと、私の箒をとっていった者も居たが、最近はそんなこともなく、暇な生徒は遊んでいる。


授業の時間割には、週1コマ構内の掃除や片付けをする「奉仕の時間」があるが、この時間も同じで、やる子はやるが、やらない子はやらず、こういったことはどこの国でも同じだと感じる。
授業についても同じで、授業中に携帯電話をいじったり、お喋りしたりするのは日本と同じである。


その8-3.jpg私が講座を始めたとき、遅刻が多いので、「君たちはこれから先生になるけど、自分が授業を始めたとき、生徒がいなかったらどんな気持ちになる? 」と問いかけてみた。
無論答えなどは要求するつもりはなく、反省を促しただけのつもりだったのだが、みんな口々に何か言う。
何を言っているのだと通訳に聴いてみたら「悲しい」といったようなことを答えているのだそうだ。
自分を表現するということについては、日本の生徒よりできる。
教員養成校であるから、学生が前に出て模擬授業をしている時など、堂々としていて、新しい先生が来たかと間違えるほどであり、入学して間もない1年生の模擬授業でも同じことがいえる。
また、授業では、自分の分からないところ、疑問に思ったことは素直に質問してくるので、それにいちいち答えていると、思わぬ時間をとってしまうこともある。


休み時間など生徒を見ていると、男女の仲がよいというか、幼いというか、よく女子学生が「ヤダー!」などといいながら相手の肩などをポンと叩くような仕草を、男子学生に対してよくするし、庭で男女がペアになって遊ぶようなゲームをよくしている。
しかし、みんな大変素直であり、教員を大事にし、自分たちで企画した遠足に連れて行ってくれたり、年末のパーティーに誘ってくれたりする。


最後の実験講座の時、この7月で日本に一時帰国することを告げたら、みんなでお金を出し合ったのであろう、後日、お世話になりましたと、別れを惜しみ、プレゼントを持って来てくれた。
言葉が通じず、彼らを外見的なことでしか見ていないが、誠実に付き合えば、彼らも受け入れてくれることを、身をもって経験した。

 

溝口克彦
教育アドバイザー
プノンペン中学校教員養成校 化学担当



写真No1 理科実験棟(自転車のあるとことが化学実験室)
写真No2 奉仕の時間に作業する生徒たち
写真No3 模擬授業をする生徒(右側に立つ生徒が先生役)

 

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