第2回スタディーツアー(13) 「伝統の森」訪問

2010年5月26日

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スタデーツアーの最終日の8日目(12月7日)の午後、IKTT「クメール伝統織物研究所」を訪問した。

 

京都の織師でありながら、東南アジアの織物に魅せられて、タイから始まった旅がメコンを下り、カンボジアに定住した、森本喜久男さん。
著書『メコンに任せて』に、その経過について詳しく述べられている。


彼は、カンボジアの伝統的な織の技術や染色の方法を復活させて残すために、ついにシェムリアップの奥の原野に住みついてしまった。
クワ、カイコ、染色に使うラックカイガラムシまで、自前でできる森を復元している。
このような場所は、以前には普通にあったはずで、復活している場所はその名も「伝統の森」。


カンボジアの伝統的なカイコは、金色の糸を吐く。
体は小さく(最近の改良された日本の品種の半分ぐらい)、糸は細い。
このため生産性の良い改良品種が入り込み、伝統的カイコは駆逐されそうになっている。
しかし、黄金の糸を吐くカイコの糸は、細く弱々しいが、手触りは良く、改良品種には無い柔らかな良さがある高級品になる。
黄金色は、糸の外側の粘膜だけで、洗うと落ちてしまうという。


伝統の復活も素晴らしいことであるが、我々にとっては、森本さんの経験談が、非常に示唆に富んでいるもので興味深かった。
経験から生み出された「話すことと聞いていることは別。聞いていても理解することとは別。理解しても実行することとは別」
これは、カンボジア人に対する彼の姿勢が良く表れている。
辛抱強い彼の性格だからこそ、ここまでやって来られたのであろう。
また「去る者は追わず、来る者は拒まず」の姿勢も、カンボジア人と共生して行くためには、必要不可欠であるように思われる。


伝統の森には、家族も入れると200人もの人が住んでいるという。
カイコばかりではなく、畑や水田も作り、栄養も考えて池を活用して魚も飼っている。
ウシ、アヒルが走り回り、イヌものんびり暮らしている。


カンボジアの昔を彷彿させる場所である。
近代西洋科学を持ち込もうとしている我々の仕事は、このような伝統文化の理解なくして行うと、クメール文化の破壊になりかねない。


写真は、「伝統の森」の森本さんの事務所の前で、話を聞く。
この後、古い貴重な布を見せていただいた。

金森正臣

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